見送る、そして

寂しさはそれなりにあるけれども、まあ、なんというか火葬が終わってしまえば、自然ともとの生活に戻ることができるものである。
あまりそういった悲しみを引き摺らないタイプだし、1年分の平均くらい昨日今日で涙は流した氣がするので、わりあいに愛着はあったのだと思う。6歳近くである。比較的長寿で20年生きる個体もいるマメルリハにしては夭折と言っても過言ではない年齢だったが、ずっと当たり前のようにいたもので、やはり思い出もそれなりなんだろう。

朝一番にペット葬儀店に電話予約して、亡くなった鳥を連れて夫と一緒に行くことになった。
庭では友人から貰ったヒヤシンスが小さな花房をつけていて、パンジーがとても綺麗に咲いていた。そのいくつかを摘んでご遺体と一緒に小さな箱に入れた。
火葬する時は、丁寧に火葬用の布団に寝かせてくれて、花やひまわりの種を一緒に置かせてくれた。生前全くといっていいほど触らせてもらえなかったので、最後に頭を少し撫でさせてもらって、お別れとなった。

帰ってきて家にいる子を放鳥したときに、ふと今日はマメルリハのメスの方も放鳥しようと思ったのだ。鳥籠を開けて、出たくないのならそっとしておこうと思ったが、出てきて外に興味を持ったようなので、観察していたら飛び出していって近くのコンテナにとまった。「誰だこの子……」とばかり他の手乗りが大注目し、しばし時が止まったようになって思わず笑ってしまった。
放鳥じたいが久しぶりのため、やはりどうしていいかわからないのか、床に佇んで少しの間呆然としていたが、しばらく他の鳥の様子を見たり、そばで一緒にゆっくり過ごしたり、セキセイインコと鳴き交わしたりしていた。積極的に楽しむというより、未知の世界との接触といった感じである。かなり長い間、放鳥時常にド緊張状態だったオカメインコの時と比べると、肝が座っているように見えた。ちなみに帰る時は夫にタオルで優しく包んでもらって丁重にお帰りいただいた。

思いがけず、マメルリハのメスとのセカンドライフがはじまった。オスがいたときよりもずっと濃厚にこの子と向き合って関わってゆくのである。可哀想という想いよりも、人間側ができる限りの快適な生活を提案させてもらおうという姿勢の方が良いだろう。年齢が年齢なので今から手乗りはむずかしいかもしれないが、最後までタオルで籠まで送っても飼い主はかまわない。一生荒鳥のままでもいい。自分もタオルでお帰りいただく術を早く覚えなければ。

Cosmic Cage

結月花成也個人サイト

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